エレコムの社風

■体育会系の風土

企業文化としては、体育会系の組織です。上下関係がとても強く、体力勝負の業務です。古株社員が偉い感が全面に出ており、上長の言うことは絶対に近く、できない人間は追い詰められる風潮があります。そのため離職率は高い(平均勤続年数は7~8年)ですが、先輩、上司は後輩の面倒見の良い社員が多く、部下の成果は上司・先輩が上に積極的にアピールしてくれる風土もあります。また、全員ではないですが、社員同士は仲が良く結束力も強いです。やる気のある人材は社内にやる気や実績をアピールする機会があり、目立つことができます。何より、率先して動く人間が評価されます。その一方で、病気や身体を壊した社員への扱いは厳しいものがあります。

また、トップの個性が色濃く反映された企業文化でもあり、非常に排他的で、自社の利益を最優先する攻撃性の高さを有しています。企業理念や目標などを社長や全社員が見ている前で暗唱しなければいけない朝礼もあります(エレコムグループは、成長し続ける・・・とか)。営業は数字に対して非常にシビアで、平社員が課長に、課長が支店長に、支店長が本社部長及び役員に、どことなく上に怯えながら数字を突き詰めてる雰囲気があります。

部門にもよりますが、社員は基本的にいい人が多く、上下の風通しは良いです。いいアイディアや意見は上長に直接相談でき、会社のためにと思った場合は何でもチャレンジさせてくれる意欲的な職場環境でもあります。

あとは普通の大阪企業です。東京の会社とは雰囲気は違うと思います。社内通話での大阪弁に慣れる必要あるかもしれません。

■葉田社長

一代でエレコムをここまで成長させた「業界の異端児」と言われる創業者、葉田順治社長は兵庫県の甲南大学経営学部出身。一言で言うならば、パワフルな偉人です。典型的なワンマン社長で、その指示については強制力と徹底力があります。それに従える役員と役職者が要所に配置されており、ナンバー2を筆頭に経営陣ポジションに力のある人物がいます。社長のカリスマ性が高く、社員一人一人に声を掛けてくれるなど、細かい気遣いも出来る人間で、流石一代で年商500億円以上の企業を作り上げてきた人だと感じさせてくれます。業界には広く深い人脈を築いており、幹部社員には社長信奉者が多いです。徹底した現場主義で社長自ら営業現場に行くことも多く、365日動きまくっています。

東証一部に上場していますが、社内の管理体制がまだまだ中小企業の域のため、会社の成長は、社長の方針に依存しています。市場の流れ、動きに敏感で組織の動きは大変速いですが、ひとえにトップダウンの経営方針によるところが大きいです。社長をサポートする組織体制はまだまだ弱いと感じます。社長と一部の生え抜き幹部の意思決定で事業が回っており、トップ以外に決定権者がおらず、長い目で見た時にはエレコムの今後の行方が不安になります。

典型的なワンマン経営であるが故の負の側面もあり、上層部及び社長の取り巻きは社長のイエスマンのみです。そして、どんなに成果を残しても社長に嫌われるとアウトです。社長が気に入られなければ昇進はおろか、降格、左遷は日常的に発生しています。営業部門・本社の管理部門ともに役職者の更迭人事が多いです。

今日「いいよ」と言われていたことが、翌日社長の考えで「NO」に変わることも日常茶飯事。社長の一存ですべてが決定します。出世するには、コンスタントな成果以上に社長の目に止まるような結果を一瞬でも残せたかどうかが大きいです。高い成果を上げ、目標を達成し、直属の部長レベルまで認められていたとしても、社長の判断ですべてが変わります。

近年は社長の息子への世襲の準備が見えてきました。


■営業部門のパワー

「営業第一」、会社組織において最も力のある営業部門ですが、社員の士気が高く、体育会系のノリで夜遅くまで働いています。他社を蹴り落とす事にやりがいを感じている社員が多く、こうした体育会系のノリが嫌いな人には合わないかもしれません。オーナー企業故の独特で異質な企業体質を感じます。

支店長以下、各課長の下で平社員が営業活動を行うスタイルです。基本的に入社後すぐに商品に関する研修は行われますが、商品の詳細な勉強は各個人に任されます。商品種類が5000種類以上あり、さらに改廃が激しいため、都度勉強していないと問い合わせに対応できなくなります。顧客への営業活動は、上司からの具体的な指示はなく個人プレーであり、基本的に各営業マンの裁量に任されます。目標金額などは設定されていますが、大抵は前年実績プラス20%程度で、これには経済の情勢や各法人の売上状況などは含まれません。

営業部門には主にネットワーク機器を販売する法人営業とサプライ製品を販売する量販店営業がありますが、量販店営業のほうが体育会系気質が強い傾向にあります。残業が多く、いかに指示事項を完璧にこなしているかを評価されます。法人営業は市況の影響、官公庁の予算の影響をモロに受けますので、運が良ければ新人でもトップに踊り出ることがあり、逆にベテランの方や優秀な方が最下位になることもザラです。このように売上は運に左右されることが多いですが、売上ノルマを達成できなければ上司、そのまた上の上司から詰められることとなります。また、労働環境は担当する取引先による部分が大きい為、取引先がホワイト企業であればホワイトに、ブラック企業であればブラックになってしまっているように感じます。

営業組織人数は4~5人体制と小さく、若くして部下のマネジメントを経験することが可能な体制となっています。諦めない、粘り強い営業力が強みであるが故に、営業戦略や戦術は論理性がなく、精神論中心になりがちですが、正論だけでは成り立たない社会の一歩目を経験する新卒社員の教育としてはメリットがあると言われています。一方で近年は女性営業職の増加、上場後のベンチャー気質のない新卒者、偏差値の高い大学を卒業したクレバーな社員の増加で、昔からの「体育会系」企業文化に変化が生じてきています。特に東証上場後は上層部の法令順守意識が高くなっており、10年前では当たり前だったサービス残業やパワハラ的指導は現在は少なくなってきました。

■人の入れ替わり

創業社長の元、部課長クラス以上の組織幹部は古株が多く、職歴が長いです。そのせいもあって大枠の体制については大きく変わる事はありません。しかし、それ以下のリーダークラス社員については出入りが激しいです。中堅社員は転職者・中途採用者が多く、入れ替わりも早いため、小グループの組織変更や人員配置は2~3か月で入れ替わる事が多いです。開発部門でも5年以上のキャリアを持つ社員は2~3割程度で、中期的な視点での人材育成が課題となっています。

人が定着しないことから、会社の組織体制は脆く、社員の平均年齢や平均継続年数は低下の一途を辿っています。しかし、PCやスマホといった移り変わりの激しい機器の周辺事業を担うためには、人材も若手中心の流動性の高い体制を保つことが必要でもあり、この辺りが非常に難しい業態だと思われます。また、国内は飽和状態が続いているため、海外進出を狙っていますが、ここに必要となる中堅人材もなかなか定着しません。

■商社のような開発部門

電機メーカーとうたっていますが、実態はファブレスメーカー(工場を持たない会社)であり、社内に技術がなく、製品の設計責任は委託先の工場に委ねているのが現実です。そのためハイエンドユーザー向け/技術的な革新…といった企画アプローチはほぼ不可能。企画やデザインの領域とのギャップが大きく、技術屋や設計職経験者はまったく長続きしません。物を安く仕入れて、それなりに良いパッケージングをつけて、企画から2カ月程度で量販店に並べる業務内容は商社に近く、金勘定能力と売れる商品に鼻の利く能力が高い社員が生き残っていける環境です。

開発は一人当たりの担当モデル数が年間100件を優に超える為、持ち帰り仕事が多く、休日は会社にいないだけで仕事は365日あると思った方がよいでしょう。製造委託工場(海外)との打ち合わせなども開発担当者が行いますので、英語ができる方が仕事を進めやすいです。

開発は個人商店といわれる通り、各自が担当商品カテゴリのマーケティング・戦略/商品企画立案・デザインディレクションなどを担当します。デザイナーの場合は、開発担当者と協力して商品デザイン・パッケージデザインに携わります。他部署との風通しはよく、営業のサポート、プロモーションのサポートまで幅広く携わることができます。なお、営業部隊の強い会社であるため、営業からの意見を商品開発に取り入れ、製品をリリースしていくこともたびたびあります。

■若い会社

基本的には新卒でも配属後はいきなり商品を任せてもらえるような環境で、他の企業と比べても早いタイミングで実務に携わることができます。営業や商品開発だけではなく、商品企画や市場分析、デザインなど幅広い業務に携わることができるのも特徴だと思います。ミーティングでも、若手の意見もしっかり聞いてもらいことができ、そこから商品を詰めていく・・・ということもありました。また、新卒社員であってもプロジェクトのメイン担当になり、チームの先輩に教わりながら業務を進めていくことも多いです。

非管理職への権限が多い事、実績に対するインセンティブが多い事、入社3ヶ月で売上責任を持てる事の3点により、新人でも活躍できる環境はあります。一方、成果を出さない限り、仕事内容の変化は少ないです。年功序列ではないため、いつまでも新人の頃と同じ内容の仕事をしている社員も多数います。給料面では会社の規模が大きくなっても昇進しない限り増えることは無いです。加えて、出世しても大きな給料面の改善が無い為、長期的に働こうと考えている社員は少ないです。

■激しい飲み会

非常に体育会気質の強い会社である為、飲み会が多く、そこで士気を高める文化があります。若い連中が中心となったノリと勢いがある飲み会です。一昔前に行われた全社社員が一堂に会した飲み会は、会場のホテルを出入り禁止になったほど、ドンチャン騒ぎをしました。今でも営業の全体会議がある際の懇親会などでは、学生のような激しい酒の飲み方をすることが多いです。若手社員からの評判は良くありませんが、飲み会は基本ひどいと考えて間違いないでしょう。管理職もそのような文化で育って来た人が多く、酒の席でバカになれない人は淘汰されていくような風土です。

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