エレコムの強み

■エレコムの強みは営業力

自他共にエレコムは営業力が強いとの認識です。トップダウンで指示があれば一斉に動く機動力と人海戦術による営業手法は経費的にも他社は真似できません。また営業拠点が多く、顧客へより手厚いフォローができる点は、強みとなっています。量販店に対し製品力ではなく人間関係でシェアを拡大している点も強みです。非効率ではありますが、他メーカーには出来ない事であり、売場作りからクレーム対応までどんな些細な事でも迅速に対処し量販店の信頼を得てシェアを上げています。PC周辺機器の中では、マウス、キーボードで首位です。

ファブレスのため状況に応じて生産箇所を柔軟に変えられる点も強みです。製品のデザイン性が高く、安価な為、bluetoothキーボードやマウスでPC入門者から一定の支持を受けています。子会社のロジテックマウスなどシェアトップカテゴリーをいくつも保有しており、スケールメリットを享受しています。ネット直販サイトであるエレコムダイレクトショップも運営しており、パソコン周辺機器だけではなく、アクションカメラ、LEDライト、ゲームパッド、イヤホン、パソコンケースやPCバッグなどもネット販売しています。「わけあり」ショップでは旧型番の製品の販売も行っています。らくちんプリントというラベル作成サービスの提供なども行っています。

新しい領域に積極的にチャレンジしている点も強みであると思います。パソコン関係の市場がシュリンクしていく中で、ハイレゾ対応イヤホンやモバイルバッテリーなどのスマホ、タブレット、オーディオ関係に進出し、一定の成功を収めました。社長は現状に満足せず、せっかちでどんどん新しいことをやり続けるため、すごいスピードで会社は成長しています。最近では「DXアンテナ」などのM&Aも積極的に行っており、外付けHDDで有名なラシー(シーゲイト)と独占販売権を締結したり、産業系PCなどにも手を伸ばしています。

■エレコム弱み

ワンマン社長のスピードについていけていない社員が多いことに問題があると思います。なんだかわからないうちにいろいろな事業が増え振り回されています。また、上司は自分の仕事が忙しいので部下を思いやらず、若い人間が育たちません。付いて来れない人間はふるい落とすような風潮があることは否めず、中途、新卒を問わず退職率はかなり高いと思います。

また、スマホケースやUSB、ハードディスク、Wi-Fi/無線LANルーターやブルートゥース製品など他社とバッティングする商品が多い業界の為、値段で負けると苦しくなります。商品が安価で品質もそれなりの為、クレームが多いです。コアユーザーにはエレコム製は敬遠される傾向すらあります。また、elecomの海外ブランド進出には何度も失敗しています。

余談ですが、電設資材の商社である「古河エレコム」はエレコムグループとは関係ない会社で、古河電工グループの会社です。

■経営課題と事業展望

国内の同業他社で有名な会社は、社長が「嫌いだ」と言っているバッファローです。またサンワサプライなどもエレコムの競合他社です。そして海外を見るとロジクールなど似た業種で展開している会社がいくつもあります。これらの中でいかにエレコムの製品を売り込んでいくのかが最大の課題でしょう。

国内のサプライ市場が縮小傾向の中、失敗しながらも海外展開を拡大・強化したり、あらゆる方向に手を伸ばしています。最近はエンベデッド向け製品などにも進出しましたが、これが成功するかどうか注目されています。チャレンジ精神の高い現社長が現役の間は成長を続けると思いますが、オーナー系企業であるため、社長交代の時期が大きな分岐点となる可能性があります。

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